空き家を相続したものの、維持費や管理の手間がかかるため手放したいと考える方は少なくありません。特に、相続放棄という選択肢がある場合、空き家をどう扱うべきか悩むことが多いでしょう。相続放棄とは、亡くなった方の遺産を一切受け継がないことを意味します。遺産には現金や不動産のほか、負債も含まれているため、借金などの負の資産を引き継がないために相続放棄を選択することがあります。しかし、空き家を放棄する場合でも、すぐにすべての問題が解決するわけではありません。
空き家を相続放棄しても、次の相続人が決まるまで管理責任が残ることがあります。放置された空き家は老朽化が進むだけでなく、地域に悪影響を及ぼすことがあり、また不審者が住み着く可能性も出てきます。このため、空き家を手放した後も、一定期間は維持管理を行う義務が残ることに注意が必要です。相続放棄を選んだ場合、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい、その後、空き家を管理人に引き渡す手続きを進めることで管理責任を解消できます。ただし、この手続きには費用がかかり、通常50万円から100万円ほど必要です。さらに、手続きが完了するまでに1年ほどかかる場合もあるため、時間とお金を考慮する必要があります。
相続放棄を選ばない場合でも、空き家を手放す方法はいくつかあります。不動産として売却するのが一般的な選択肢です。古い空き家の場合、古家付き土地として売却することで、解体費用をかけずに売ることが可能です。また、解体して更地にすれば、新しい家を建てることができるため、購入希望者が増えることもあります。この方法は、早めに空き家を売却したいと考えている方にとって有効です。また、密集した住宅地や不整形地の場合は、隣家に土地の購入を持ちかけるのも一つの手です。特に、自分で買い手を見つけるのが難しいと感じる場合は、不動産会社に相談し、適切な価格や手続きについてアドバイスを受けると良いでしょう。
その他、空き家を寄付するという方法もあります。一部の自治体や法人では、空き家を寄付として受け入れることがありますが、寄付を受け付けてもらえるケースは少ないのが現状です。そのため、売却と並行して寄付先を探してみるのが現実的です。ただし、個人に寄付を行う場合には、贈与税がかかる可能性があるため、税金面にも注意が必要です。
空き家を手放すには、相続放棄をはじめ、さまざまな方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合わせて最適な方法を選択することが重要です。専門家に相談しながら、しっかりと計画を立てて進めていくことが望ましいでしょう。